ENSとfleek(IPFS)でWeb3.0なWebサイトを作成してみた

  • 13 March 2022
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 2020年ごろから巷で「web3.0」みたいな言葉が流行っている。また、もっと前から仮想通貨のブームもあり、システム業界ももしかしたらどんどんと「分散型」のweb3の時代に突入していくのかもしれない。
 私は仮想通貨なんかを少し嗜む程度でweb3の世界のDAOなどのシステムを構築した経験はない。なので完全な素人なのだが、今回簡単にweb3を体験してみたのでこの情報をシェアする。もしかすると5年後くらいにはweb3の掲げるDAO(Decentralized Autonomous Organization)が一般化しているのかもしれないし、今のうちにちょっとかじっておこうと思う。

完全分散型なWebサイト構成

 今回の構成は以下で行う。

  • ENS(Ethereum Name Service)
  • Fleek(IPFS)

 ENSの購入や設定にETH(イーサリアム)が必要なので、完全に無料ではできない。また、以下はすべてイーサが入ったウォレットと接続している前提だ。

DNSではなくENS

 従来のシステム業界ではDNSという言葉が存在するが、このWeb3の世界ではENS(Ethereum Name Service)が最も有名だ。
https://ens.domains/ja/

 要はイーサブロックチェーンの世界のネームサーバーで、分散化しているので改ざんや攻撃はほぼ不可能となる。

ENSでドメインを購入

 ensのサイトで購入したいドメインを検索する。ちなみに3文字や4文字のドメインは非常にコストが高いので5文字のドメインにしてみた。

 このときドメイン費用は1年で0.002ETH、そしてガス代が、0.005ETHだった。この設定を行った時点では1ETH≒300,000円なので、2,100円程度だ。
 ガス代が何か分からない人は、仮想通貨のガス代でググってみてくれ。

 何回かトランザクションを求められたあと、ドメインを所有することができた。

公開するサイトを作成してfleekでホスティング

 fleekというのはこれまた分散型のホスティングサービスのようだ。ここではIPFSとIC(Internet Computer)のいずれかでデプロイ可能のようだ。
https://fleek.co/
 公開するサイトは何でもいい。今回はsvelteで作成した初期表示サイトにした。以下のようなdefault画面が表示されるだけだ。

 そしてfleekでホスティングするのだが、githubと連携してCI/CDしてくれるので、このsvelteのWebサイトをgithubリポジトリにpushしてfleekで紐づける。

 ホスティングはIPFSを選択した。あとは以下のようにデプロイのルールなどを設定して保存する。
 fleekがデフォルトで用意してくれるドメインで正常にサイトが公開されていることを確認できる。
https://super-lake-5719.on.fleek.co/

ENSドメインを紐づける

 fleekの設定画面から上記で購入したENSドメインを紐づける。
 「Add ENS」を押すとまたトランザクションのガス代を請求してきます。


 しばらくするとENSのアプリ画面でContentが以下のようになる。

 ここに表示されるドメインをクリックするとサイトが正常に表示される。
https://i-406.eth.link/

設定を保存するためにETHが削られるので注意

 ENSのレコード設定等を行うときに、スマートコントラクトが起動するのでガス代としてETHを支払う必要がある。今回は全部で3トランザクション行い、0.0083ETHくらいを支払った。2022年3月の相場だと2500円くらいなので許容範囲だが、今後のイーサリアムが高騰したらもっともっと高くなってしまう。
 なので今後Web3や分散化に興味がある人は、ガス代を節約するためにドメインの契約年数を長めにして先に一括で支払っておくとお得かもしれない。ちなみに今後イーサの2.0でネットワークが大幅に改善されると思われるので、そのときは超低コストで運用できる可能性はある。

Web3.0はとてもわくわくする

 今回、静的Webサイトを分散型のホスティングサービスで配信し、さらにENSによってドメインをあててみた。これは何がすごいのかって言われると返答に困るものがある。
 まず、ネームサーバーがブロックチェーンによる分散化が行われているので改ざんや意図的な停止を行うことができないと思われる。また、サーバー自体も分散化されているので、これまたダウンさせようとした攻撃や、政府のような強大な権力によるサーバー停止も難しくなるわけだ。例としてビットコインは、今まで幾度となくそれを嫌う権力者、国家、ハッカーに狙われてきたが、初回の発行から10年以上立つのに正常に機能しているし価値は上がり続けている。つまり高度に分散化されたネットワークは、それを止めたり攻撃したりすることは何者にもできないということかもしれない。
 もしあなたが、世界の権力者を敵にまわすような情報を発信したい場合などは上記の方法でWebサイトを公開すると良いかもしれない。しかし、一般的なブログなどを公開するために分散化インフラを使用するメリットは現状あまりないかもしれない。

 Web3はまだ始まったばかりだ。なのでもし今後、分散化ネットワークでサイトを公開するとコストがほぼかからないだけでなく、何らかのコイン(トークン)をどんどん分配されるとかいうサービスが出てくる可能性もあるので、将来的にはAWSやAzureなどは消えていくのかもしれない。(そんなわけないか)

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